敦賀教会の牧師です
はじめまして、敦賀教会の牧師として2017年4月に着任しました有岡史季と申します。併設する敦賀教会幼稚園の園長も兼任しています。どうぞ、よろしくお願い致します。
少し私の話を書こうかと思います。私がこの敦賀教会に至るまでの人生を振り返り、最も影響を受けた言葉は、恩師のこの一言でした。「キリスト教は“こたえ”を教えてくれるワケじゃない」。当時、悩みを抱える私にとって、この一言は突き放されるような衝撃を伴う一方で、けれど、悩める自分を“悩めるまま”受け入れてくれる教会の包容力を感じさせるものでした。以来、私はキリスト教って案外と思慮深く、懐深いものだなぁ、と思いながら教会生活を送っています。
「こうすれば救われる」、「ああすれば幸せになれる」というような安直で紋切り型の慰め言葉は、キリスト教が本当に伝えたい言葉とはちょっと違うと思います。きっとキリスト教という“場所”は、悩みや課題を抱えた人自身が、しっかりと悩み、しっかりと考え、聖書と礼拝を通した神さまとの出会いの中で、自分の存在と元気を回復していく、そんな場所なんだと思います。
残念ながら、敦賀教会には何の秘術も妙薬もありません。しかし、ここには神さまの見守りの内に、一人ひとりが安心して「悩める人」、「考える人」に成りきることのできる空間が整っています。これは、現代日本ではなかなか得難い貴重な空間ではないでしょうか。多忙を強いられる現代人にとって、礼拝堂の長椅子に腰掛けてホッと一息つきながら、いつもと違う空気を感じつつ、自身と向き合い、また祈りの言葉をポソッとつぶやいてみることは、心と体の健康上、意外に良い効果が見込まれるかも知れません。
教会とは、信仰を持った人たちのためだけではなく、少しでも関心を寄せる人たちへも、その扉を開いています。教会に対して劇的な何かを期待されると困りますが、しかし、確かにここには外にはない特別な神さまからのプレゼントがあります。どうか、そのプレゼントを、皆さんと一緒に分かち合うことができたら良いなぁ、と願っています。